カタチには理由(ワケ)がある(1)~三菱7試単座戦闘機


三菱7試単座戦闘機

本機は、1932年(昭和7年)に三菱が試作した海軍の単座戦闘機です。主任設計技師は後に零戦を設計する堀越二郎。金属製の低翼単葉戦闘機として、当時としては画期的なデザインでした。当時のジュラルミン押し出し成型材などない時代に、堀越二郎が追及する、風に乗るような機体を設計すると、このように翼面積の大きな団扇のような形状になってしまうのかもしれません。実物もやはり鈍重な機体となってしまい、性能的に十分な性能に達せず、不採用になってしまいましたが、後日、彼が零戦へ向けての第一歩を踏み出したエポックメーキングな機体といえます。宮崎駿監督が、アニメの原作になった「風立ちぬ」(大日本絵画)で描いていますが、同作品に描かれたように、実物はリベットごつごつの機体であったと思われます。そのアウトラインは下田信夫画伯描くところのデフォルメ飛行機のようですが、個人的にそこが可愛く、好きな機体です。これに似た機体は「ルパン三世」第2シリーズ第145話の「死の翼アルバトロス」で登場しています。

【模型について】

コロジー(Choroszy)製1/72のレジンキットです。このメーカー、ポーランドのメーカーでありながら、よくぞこんなものまで、というぐらい日本の飛行機をキット化してくれたメーカーですが、オーナーさんがご高齢のため、近年廃業してしまったのが悔やまれます。なお、試作のみに終わった機体ですから、当然、愛国機のマーキングは架空のものです。(中川裕幸)

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